数多くのパーツや改造があるのが、現代のミニ四駆。
「子供のころミニ四駆をやっていたけど最近はじめた人」には、馴染みのない言葉も多いはず。
ぼく自身、ミニ四駆をはじめたばかりの頃は、
聞いたことのない言葉がいっぱいある…
と悩んだ経験があります。
なのでこの記事では、ミニ四駆で使われる用語を解説。
基本的な言葉は除き、改造やセッティングをしていく際に使われる用語を中心に紹介しています。
パーツ
開けポン
購入したパーツを、パッケージから開封後そのまま使うこと。
開封したパーツを、何も手を加えずにそのまま使用。
なので主に、モーターなどで使われることが多い表現です。
モーター慣らしなどをする前に、初期状態を知るために開けポン状態で使用。
初期状態を計測し、慣らし前後で比較する場合が多くなってきます。
何も手を加えずに使用することから、ポン付け改造とも近い表現になってきます。
ポン付け
パーツをそのまま取り付けてマシン改造していくこと。
「開けポン」と同じく、開封後のパーツをそのまま使用。
加工などをいっさいせずに、ほぼ説明書通りにマシンに取り付けていくことになります。
B-MAXやGTアドバンスなどの無加工マシンも、基本的には開けポンでの改造。
むずかしい加工がないので、ミニ四駆初心者にも参考にしやすい改造も多くなっています。
取り付けるパーツによっては制限も出てくるので、マシンやシャーシによってはむずかしさも出てきます。
ペラシャ
プロペラシャフトの略。
プロペラシャフトとは、方軸モーターシャーシに使われるギヤの一部。
前後のギヤのつなぎとして、モーターからのパワーを伝えています。
マシンを走らせていると、プロペラシャフトのギヤ部分の位置がズレることがあります。
これを「ペラシャが伸びる」などと言う場合も。
プロペラシャフトの位置によって駆動の良さが変わるので、マシンに合った調整が必要となってきます。
プロペラシャフトについては、こちらの記事でも紹介しています。
GUP
グレードアップパーツ(Grade Up Parts)の略。
基本的にはミニ四駆の改造用パーツ。
キット付属品より優れたパーツや、通常キットには含まれないようなパーツが多く存在しています。
パーツによって、使い方やマシンに与える効果も変化。
適合するシャーシなどもあるので、使う際は確認が必要になってきます。
マシンキット同様、通常品番と限定品番に分かれているのも特徴です。
AOパーツ
「アフターサービスオリジナル」の略で、カスタマーサービスオリジナルともよばれる。
キットの付属品やGUPの消耗品などを、パーツ単体で購入できる商品。
破損したパーツの修復用や、マシンの改造までさまざまな場面で使用可能。
中でも、消耗品となるギヤ類はマシンキットを買う必要がないので便利。
他にもスライドダンパー用のバネは、セッティングの選択肢としても使いやすくなっています。
ただし商品タグなどがRCモデルと共有されているので、ミニ四駆用かの確認は必要になってきます。
FRP
繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)の略。
基本的にミニ四駆のFRPにはガラス繊維が使われているため、正式には「GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic)」となります。
補強プレートとして、ミニ四駆のパーツの中でも初期から発売されているパーツ。
ガラス繊維配合のため、人体には有害になってきます。
なので加工の際などは、吸い込まないような工夫も必要に。
現在ではさらに強度と軽さに優れたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)となる、カーボンプレートも発売されています。
FRPとカーボンについては、こちらの記事でも紹介しています。
マスダンパー
立体コースの制振機能として欠かせない、可動式のウェイト。
マシンの走りに合わせて、上下に可動します。
ジャンプ後の着地時にプレートを叩くことで、マシンの跳ね上がりを抑える働き。
重さや形によって、制振効果も変わってきます。
建物の制振装置としても使われていることから、制振効果が大きいのは間違いなし。
重さをかけるほど制振効果は上がってきますが、マシンの重さは増すため速度面ではデメリットになってきます。
マスダンパーについては、こちらの記事でも紹介しています。
ローフリ
ローフリクションタイヤの略。
「ロー(低い)フリクション(摩擦)」という特徴から、今のミニ四駆で多く使われているタイヤの種類になります。
あずき色の見た目から、「マルーン」とよばれる場合も。
タイヤの素材として硬いことから、摩擦抵抗が小さくコーナリングが速いのが特徴。
また反発力が小さいので、跳ねづらいというのも多く使われている理由になります。
2024年には、「ブラックのローフリクションタイヤ」も正式に発売予定となっています。
ローフリクションタイヤについては、こちらの記事でも紹介しています。
スライドダンパー(スラダン)
フェンスにぶつかった時の衝撃を、スムーズに吸収してくれるバンパー。
ローラーがコースと接触した時にスライドし、衝撃を吸収してくれます。
公式大会の5レーンコースなどでは、コースのつなぎ目の段差の衝撃を和らげるために有用。
バネやグリスによって、スライドする強さを調整することも可能。
マシンやコースレイアウトに合わせて、使い分けるのもポイントになってきます。
通常品はアルミ製のステーですが、限定のGUPとしてカーボンステーも発売されています。
スライドダンパーについては、こちらの記事でも紹介しています。
コース
5レーン
タミヤの公式大会で使われるような、全部で5レーンあるコースのこと。
3レーンコースとの違いは走行レーン数だけでなく、コースの素材も違います。
基本プラスチック製のJCJCとは違い、硬い素材で作られているのが特徴。
コースの路面を捉える、タイヤのグリップ力。
コースの壁を捉えるローラーの食いつき具合にも、JCJCとの違いが出てきます。
またコースのつなぎ目も違うため、設置状況によっては段差による影響も大きくなってきます。
3レーン
店舗などに設置されている、3レーンあるコースのこと。
基本的に使われているのは、タミヤから発売されているJCJC。
JCJCと各セクションの組み合わせによって、コースレイアウトが組まれています。
タミヤ公式でも、「ステーションチャレンジ」では3レーンコースが使用。
5レーンの公式大会とは違い、各店舗の代表者が3レーンコースを使ってレースを行う大会です。
過去には、5レーンの公式大会のセクションのひとつとして使われたこともあります。
2レーン
走行レーンが2つある、家庭用ミニ四駆コースのこと。
「オーバルホームサーキット」として、タミヤから発売されているコース。
発売時期によって、コースのカラーや付属のマシンが変わっているのも特徴です。
主に、家庭用として使われることが多いコース。
レーン数が少ないため、LCのむずかしさは3レーンより厳しくなっています。
2レーンコースも、過去に公式大会のセクションとして使われてたことがあります。
ミニ四駆コースについては、こちらの記事でも紹介しています。
JCJC
ジャパンカップジュニアサーキット(Japan Cup Junior Circuit)の略。
主に3レーン用として使われているコース。
タミヤから発売されているコースなので、店舗などでも多く使われているコースです。
各セクションを追加することで、コースの長さを拡張することが可能。
また基本のJCJCコースで、タイムを競う遊び方もあります。
通常のマシン改造としては、JCJCに対するマシンセッティングが必要になってきます。
LC(レーンチェンジ)
レーンチェンジ(Lane Change)の略。
走行レーンを変更するために設置される、セクションのひとつ。
コース上を跨ぐように走行する、立体LCが一般的になっています。
立体LCは、上りと下りが組み合わさった連続カーブ。
なので、マシンの速度が上がるほど難易度が上がってくるのも特徴です。
LCは、ミニ四駆初心者ほど攻略がむずかしいセクションになっています。
LCについては、こちらの記事でも紹介しています。
バンク
コースに傾斜がついたカーブセクション。
傾斜がついていることで、マシンのトルクが必要になってくるセクションのひとつ。
組み合わせの枚数やストレートを挟んでいる場合などによって、必要なマシンのパワーも変わってきます。
JCJCに使われているバンクの角度は、主に20°。
20度バンクの組み合わせによって、40°や60°で使われる場合もあります。
公式大会や自作のバンクの場合は、角度が変わってくるので必要なセッティングも変わってきます。
スロープ
コースに設置される立体セクションのひとつ。
上りと下りがあり、マシンがコース上で立体的な挙動を示します。
ストレートやコーナーなどを挟まず設置した場合、DBになってきます。
スロープ直後のストレートの枚数によって、難易度が変わってくるのが特徴。
「スロープ後のストレート◯枚」と表現することが多く、スロープ直後のストレートが多いほど着地にも余裕が出てきます。
JCJCのスロープの角度は共通ですが、公式大会などのスロープの角度はまた変わってきます。
DB(ドラゴンバック)
ドラゴンバック(Dragon Back)の略。
コース上に接地されている、コブのような形状のジャンプセクション。
3レーンコースでは、スロープの上りと下りを組み合わせて設置されていることが多いです。
スロープとの違いは、ジャンプ後の下りの高低差が約11cmあること。
高いところからの着地になるので、マシンの挙動が乱れやすくなってきます。
コースアウトしないためには、ブレーキやマスダンパーによる対策が必要になります。
TT(テーブルトップ)
テーブルトップ(Table Top)の略。
「スロープ上り→ストレート→スロープ下り」から構成されるセクション。
間にストレートを挟むことで、DBとは難易度も変わってきます。
スロープ上り後のストレートの枚数によって、むずかしさが変化。
1枚程度であれば飛び越しも可能ですが、枚数が増えるほど着地点が重要になってきます。
他のセクションとの兼ね合いもあるので、速度のセッティングがむずかしいポイントになってきます。
アイガースロープ
JCJCに使われるスロープとは違い、公式大会などで多く使われるスロープセクション。
公式大会などの5レーンコースで使われることの多い、アイガースロープ。
JCJCのスロープより標高差があり、角度も急になっているのが特徴です。
さらに、アイガースロープは上りの部分も長くなっています。
なのでスロープの始めと終わりでは、ブレーキによる速度の落とし方が変化。
上り切るためにはマシンのパワーが必要ですが、速度が出るほど上り直後の着地の難易度が上がってきます。
改造
たからばこ(セッティング)
今のミニ四駆のベースにもなっているローラーセッティング。
「ホビーショップたからばこ」で誕生したのが名前の由来。
フロントに2つ、リヤに4つのローラーを配置。
リヤローラーを上下2段にし、マシンを横から見た時に二等辺三角形になるように装着しています。
マシンを横にした時に、マシンが自立可能。
このバランスでローラーセッティングすることで、実際にコースを走らせた時のバランスも良くなってきます。
2017年以降は、ローラー数の上限が撤廃されて配置は自由。
それでも、ローラーセッティングの基本となっている考え方です。
たからばこセッティングについては、こちらの記事でも紹介しています。
スラスト(角)
マシンを横から見た時に、ローラーについている角度を示します。
フロント側が低くなっているのを「ダウンスラスト」。
逆にフロント側が高いのを「アッパースラスト」とよびます。
ダウンスラストがあることで、ローラーによってマシンが押さえつけられるためマシンが安定して走行可能。
逆にコーナーやLCなどでマシンがすっぽ抜けてしまう場合、スラスト角が足りない場合が多いです。
スラスト角の調整は、専用のGUPや端材などを活用して調整することが可能になります。
ローラーのスラストについては、こちらの記事でも紹介しています。
バンクスルー
バンクでブレーキが当たらないようにするブレーキセッティング。
バンクとスロープでは、コース路面の角度が違います。
両方でブレーキが効いてしまうと、大きな減速の原因に。
なのでスロープだけでブレーキが当たり、バンクではブレーキが当たらない(スルー)できるセッティングが効率的。
ブレーキステーの角度や、ブレーキ自体に角度をつけることで調整が可能になります。
バンクスルーについては、こちらの記事でも紹介しています。
3点接地
水平状態で、シャーシのタイヤが3つしか接地していない状態のこと。
本来であれば、ミニ四駆のシャーシは4つのタイヤ全てが接地しています。
しかしシャーシの歪みなどによって3つしか接地していない場合、マシンの速度やバランスに影響が出てきます。
3点接地になってしまう原因はいろいろ。
MSフレキなどのシャーシの加工や、強化ギヤカバーなどのビスの強い締め付け。
シャーシによっては、電池などを取り付けて歪んでしまう場合もあります。
マシンの速度にも影響してくるので、確認と調整が必要になってきます。
バンパーレス
シャーシのバンパー部分を切り落とし、FRPやカーボンなどに付け替える改造。
マシンの軽量化や、バンパーの自由度を高めるために行われます。
マシンやバンパー形状に合わせた調整も可能。
最新のVZシャーシでは、前後バンパーの取り外しが可能。
加工をしなくても、バンパーレスが可能なシャーシになっています。
その他のシャーシはバンパーの切り落としが必要なため、加工が必要になってきます。
ワークマシン
タイヤ加工やモーター慣らしに使う、作業用マシンのこと。
シャーシにギヤ類やモーター、電池だけ取り付けて加工などに使用。
ワークマシンによって、リューターなどの電動工具が無くてもタイヤ加工などが可能になります。
主に使わなくなったシャーシが使われることがほとんど。
その中でも特に、モーターの付け替えがしやすいスーパーX(XX)シャーシが使われることが多いです。
ただしモーターの熱や、電池の容量によって作業効率は変わってきます。
MSフレキ
MSシャーシをフレキシブル改造したシャーシのこと。
MSシャーシを3分割に加工し、バネによってサスペンション機能を備えたシャーシ。
センターシャーシが沈むことによって、ジャンプ後の着地などでも制振性能がアップします。
サスペンション機能があることによって、コースの凹凸に強くタイヤの接地時間が長くなるのが特徴。
結果的に、マシンの速さにもつながってきます。
制振性能の高さから、今のミニ四駆のシャーシとしてもっとも多く使われている改造シャーシになります。
MSフレキの作り方については、こちらの記事で紹介しています。
ギミックマシン
シャーシやバンパーを加工し、コースに適した動きをするセッティングマシン。
「MSフレキ」や「バンパーレス加工」。
「ATバンパー」や「ピボットバンパー」などの各種ギミックを搭載したマシンになります。
基本的に、シャーシやパーツを加工してマシンに取り付け。
なので無加工の既存のシャーシやパーツとは、コースでマシンにもたらす影響が変わってきます。
オープンマシンといわれる今の改造マシンの多くが、ギミックマシンとなっています。
提灯
マスダンパーを吊り下げた状態が「提灯」に似ていることからよばれる改造。
可動できるプレートとマスダンパーの動きによって、ジャンプ後の着地などでシャーシを叩きつけます。
これによって、マスダンパーだけの状態よりもマシンの制振性能がアップ。
ボディと一体化した提灯を「ボディ提灯」。
他にもフロントやリヤの違いや、マスダンパーの取り付け方によって「ヒクオ」などの派生した提灯改造もあります。
立体コースが主流の今のミニ四駆においては、欠かせない改造になっています。
提灯については、こちらの記事でも紹介しています。
ATバンパー
ミニ四レーサーのおじゃぷろさんによって考案されたギミックバンパーのひとつ。
「AT」とは、オート・トラック(壁を追従する)という意味で付けられた名称。
壁にフィットする柔らかさと広い対応領域によって、コース内に入りやすい性能を持ったバンパー
引用元:おじゃぷろの″とりま″
数あるギミックバンパーの中でも、最初の頃に作られたバンパー。
既存のギミックバンパーの中には、ATとの組み合わせによって作られたものも多くなっています。
バンパーがマシンの位置をある程度修正し、最終的にコースに入る確率が上がるバンパーになっています。
ATバンパーについては、こちらの記事で紹介しています。
ピボットバンパー
マシンの進行方向からの衝撃をいなす構造になっているバンパー。
ローラーの取り付け部分を可動式にすることによって、ローラーがコースからの衝撃を受けた時に動きます。
ローラーが後方に動くことによって、コースの段差などの衝撃を吸収したりジャンプ後の着地でコースに入りやすくなるメリットが。
作りとしては、バンパーの端に支点を作ってそこを中心にローラーステーが可動。
ローラー用のゴムリングを巻くことによって、可動する際の強さも調整することができます。
ただし19mmや17mmの大径ローラーではタイヤと干渉する場合があるので、小径ローラーが使われることが多いです。
ピボットバンパーについては、こちらの記事でも紹介しています。
ミニ四駆の用語 まとめ
ミニ四駆のパーツや改造については、今でも進化しています。
新しいマシンやGUPが発売されたり、新たな改造が開発されたり。
多くのミニ四レーサーがいることで、これまでになかったセッティングも増えていきます。
そんな新しいミニ四駆用語を、今後も随時更新予定です。
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