ミニ四駆のセッティングで、マシンの速さに関係する要素として「ギヤ比」があります。
方軸も両軸も、カウンターギヤとスパーギヤの組み合わせによってマシンの速度が変化。
マシンやコースに合わせた組み合わせにすることで、無駄のない走りにすることが可能になってきます。
✅この記事の内容
- ミニ四駆のギヤの種類
- ミニ四駆のギヤ比
- おすすめのギヤ比
- カウンターギヤの加工
この記事では、ミニ四駆のギヤ比について。
カウンターギヤの種類や、ギヤ比についてはもちろん。
おすすめのギヤ比やカウンターギヤの加工も合わせて紹介します。
マシンセッティングでギヤ比に迷った場合、まずは3.7:1のギヤ比からはじめてみるのがおすすめです。
ミニ四駆のギヤ比は、組み合わせによって速度寄り〜トルク寄りまであります。
さらにコースの規模としても公式大会ほど広くないコースが多いので、3.7:1のハイスピードEXが扱いやすくなってきます。
もちろん最適なギヤ比については、正解がありません。
これはマシンセッティングやコースレイアウトによっても、最適解が変わってくるため。
さらにマシンの速さに関係するのは、ギヤ比だけではない。
カウンターギヤ内のベアリングの有無や、ギヤシャフトによってもマシンの速さは変わります。

ギヤ比と合わせて、ベアリングやギヤシャフトの調整も大切になってきます。
ミニ四駆のギヤの種類
方軸ギヤ
ギヤ比 | カウンターギヤ | スパーギヤ |
---|---|---|
3.5:1(超速) | ![]() |
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3.7:1(ハイスピードEX) | ![]() |
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4:1(ハイスピード) | ![]() |
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4.2:1(高速) | ![]() |
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5:1(標準) | ![]() |
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方軸シャーシの場合、5種類のギヤの組み合わせによってギヤ比が変わってきます。
今のミニ四駆で、方軸シャーシのギヤの組み合わせとしては主に5種類。
そしてクラウンギヤと共にプロペラシャフトに関係している、「スパーギヤ」になります。
このギヤについては、レギュレーション上で組み合わせが決められています。
なので異なった組み合わせで使用することはできず、公式大会など参加の際は注意が必要。
たとえば「水色のカウンターギヤ+黄緑のスパーギヤ」などは、適切な組み合わせにはならないのでセッティングとして使うことはできません。
マシンキットに付属しているギヤ比については、シャーシごとに異なってきます。
加速面に優れた小径タイヤの場合は、「3.5:1」の超速寄りのギヤ。
逆に大径タイヤなどの最高速が伸びやすいマシンキットには、「4:1」などのトルク寄りのギヤ比が付属されています。

なのでセッティングの幅を広げるためには、GUPのギヤセットも必要になってきます。
両軸ギヤ
ギヤ比 | カウンターギヤ | スパーギヤ |
---|---|---|
3.5:1(超速ギヤ) | ![]() |
![]() |
3.7:1(ハイスピードEX) | ![]() |
![]() |
4:1(ハイスピード) | ![]() |
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両軸シャーシとなるMAやMSの場合は、3種類のギヤの組み合わせによってギヤ比が変わります。
両軸シャーシ用として使用できるギヤは3種類。
なので方軸シャーシの「4.2:1」や「5:1」に対応するギヤは、発売がされていません。
こちらも方軸シャーシと同じで、適切な組み合わせでギヤを選ぶことが必要。
さらにマシンキットによって、付属のギヤ比も変わってきます。
なのでセッティングの幅を広げる場合は、両軸シャーシもGUPで追加していく必要が。

方軸のようにトルク寄りのギヤ比がないため、ギヤ比だけみれば大径タイヤとはあまり相性が良くない部分もあります。
ミニ四駆のギヤ比
ギヤ比とは
ミニ四駆の「ギヤ比」とは、タイヤが1回転するのに必要なモーターの回転数の比率になります。
ミニ四駆のギヤは、歯車形状。
これによって他のギヤと噛み合いながら、電池やモーターからのパワーをタイヤに伝えています。
この意味としては、4:1の場合は「モーターが4回転するとタイヤが1回転する」ということに。
なので「3.5:1」や「3.7:1」は、「4:1」に比べて少ないモーターの回転数でタイヤを回転させることが可能。
つまり同じモーターの回転数だった場合、より多くタイヤを回転させることができます。
実際コースを走行中は、タイヤが多く回転する方がマシンが進む距離も長くなってきます。
ギヤ比による速さの違い
コースを走らせるマシンも、ギヤ比によって速度が変わってきます。
今回は、実際にギヤ比だけを変えてマシンの速度をチェッカーで計測。
- シャーシ:VZシャーシ
- モーター:ノーマルモーター
- タイヤ径:26mm
- 電圧:3.0V
- ベアリング:プラベアリング
- シャフト:ノーマルギヤシャフト
ギヤ比 | 最高速度(km/h) | 平均速度(km/h) |
---|---|---|
3.5:1 | 19.8 | 19.5 |
3.7:1 | 19.4 | 18.8 |
4:1 | 17.7 | 17.3 |
4.2:1 | 17.3 | 17.1 |
5:1 | 15.4 | 14.6 |
結果から見ても、超速ギヤの方がマシン速度が上がっているのはあきらか。
ギヤ比が小さい方が、マシンの速度は上がっていました。
しかし今回のマシン速度は、チェッカーを使って測定しています。
なので、コース上での正確なマシン速度とはならない点には注意が必要。
さらにマシンの速度は、ギヤ比だけでなく使うモーターやタイヤ径によっても変わってきます。
モーターやタイヤの条件によって、マシンの速度を計算することも可能。
しかし複雑な計算が必要なので、便利なサイトを活用してみるのもおすすめになります。

あくまでも今回の結果は参考程度にはなってきますが、ギヤ比によってマシン速度が変わるのは間違いありません。
おすすめのギヤ比
超速寄りの3.7:1
どのギヤ比を使えばいいか迷った場合、おすすめは3.7:1のハイスピードEXギヤになります。
正確にいえば、おすすめのギヤ比についてはマシンセッティングやコースレイアウトによっても変わってきます。
なので、必ずしも正解となるギヤ比についてはむずかしい部分も。
しかし今のミニ四駆のコースは、再加速と共に速さも必要な立体コース。
なのでマシンの速さを考える場合、5:1〜4:1のようなトルク寄りのギヤ比よりも超速寄りのギヤ比が最適。
さらに普段走らせるコースとしては、ミニ四駆専門店や家電量販店規模のコースが多いはず。
ただ最高速を求めるだけではなく、ブレーキからの再加速も必要となってくるコースになります。
そんなコースレイアウトやコース規模を考えた場合、3.7:1のギヤ比が無難。
適度な速さもあり、トルク面もあるので立体コースでも走りやすくなってきます。

マシンセッティングによっても走りは変わってきますが、迷った場合はとりあえず3.7:1からはじめれば間違いありません。
ベアリングによる違い
ギヤ比でマシンの速さを考える場合、カウンターギヤのベアリングも大切になってきます。
カウンターギヤの取り付けには、ベアリングも合わせて使います。
最近のマシンキットには、「低摩擦のプラベアリング」が付属。
さらにGUPの場合は、620ベアリングや520ベアリングがセットになっています。
ベアリングと合わせて取り付けることでギヤシャフトがガタつかず、走行時のロスも少なくなります。
さらにベアリングの種類によっても、マシンの速度は変わってきます。
- シャーシ:VZシャーシ
- モーター:ノーマルモーター
- タイヤ径:26mm
- 電圧:3.0V
- ギヤ比:3.7:1
- シャフト:ノーマルシャフト
ベアリング | 最高速度(km/h) | 平均速度(km/h) |
---|---|---|
ベアリング無し | 17.9 | 17.7 |
プラベアリング | 18.4 | 18.2 |
ボールベアリング | 20.2 | 19.8 |
結果からみると、やはりベアリングがある方がマシンの速度もアップ。
さらにプラベアリングよりも、回転性能の高い620ベアリングの方が速度は上がってきます。
ボールベアリングの性能によっては、プラベアリングの方が速い場合もあります。
それでもマシンの速さを考える場合、ギヤ比に合わせてベアリングを使用することも大切になってきます。
ギヤシャフトによる違い
マシンの速度を考える場合、カウンターギヤを取り付けるシャフトによっても速さに違いが出てきます。
ミニ四駆用のギヤシャフトには、大きく2種類あります。
マシンキットに付属しているのが、「ノーマルギヤシャフト」。
さらにGUPとして、「フッ素コートギヤシャフト」も発売されています。
- シャーシ:VZシャーシ
- モーター:ノーマルモーター
- タイヤ径:26mm
- 電圧:3.0V
- ギヤ比:3.7:1
- ベアリング:620ベアリング
ギヤシャフト | 最高速度(km/h) | 平均速度(km/h) |
---|---|---|
ノーマルギヤシャフト | 20.1 | 19.9 |
フッ素コートギヤシャフト | 21.0 | 20.2 |
ギヤシャフトとして大切になってくるのが、スムーズな回転性能。
実際の結果からも、カウンターギヤを通した時の抵抗が減ることでマシンの速度も上がってきました。
そんな回転性能の高いギヤシャフトとしては、方軸も両軸もフッ素コートギヤシャフトがおすすめ。
これによって回転時の摩擦抵抗が減り、スムーズなギヤの回転につながってきます。
他にもギヤシャフトの表面を研磨することで、抵抗の少ないシャフトに仕上げる方法も。
カウンターギヤのスムーズな回転のためには、取り付けるギヤシャフトの抵抗も関係してきます。
商品リンク:タミヤ グレードアップ フッソコートギヤシャフト (ツバ付2本)
商品リンク:タミヤ グレードアップ フッソコートギヤシャフト (ストレート2本)
カウンターギヤの加工
レギュレーション上は加工が可能
ミニ四駆のギヤも、多少の範囲であれば加工することが認められています。
【1】6.改造−4. ギヤの改造は、軽量化のための穴あけや削り加工とベアリングの内蔵のみ認められます。駆動用ギヤは定められた組合せで使用することが必要です。
引用元:ミニ四駆公認競技会規則
認められている加工としては、ギヤの軽量化や穴あけなどの加工。
さらにベアリングをギヤ内に内蔵する改造も、レギュレーション上は可能になってきます。
またギヤの歯の数を加工するなどの改造は、レギュレーション違反になってくるので注意が必要。
レギュレーション上で認められている範囲内でギヤの加工をすることで、ギヤの抵抗抜きも可能に。

「セミフローティングギヤ」や「フローティングギヤ」も、ギヤを加工することで抵抗を減らして使用する方法になります。
ギヤのフローティング加工
カウンターギヤ内にベアリングを内蔵することで、抵抗を減らすのがギヤのフローティング加工になります。
「フローティングギヤ」とは、ギヤ内にベアリングを内蔵。
これによって、ベアリング以外がシャフトに接触していないギヤにすることができます。
主に使われているフローティングギヤは2種類。
- フローティングギヤ:850ベアリングを内蔵
- セミフローティングギヤ:方軸は620、両軸は520を内蔵
「フローティングギヤ」については、850ベアリングを内蔵できる大きさに加工する必要が出てきます。
なので加工の範囲も大きくなり、ギヤ周りなので精度も重要に。
加工の範囲も少ないので、加工も比較的かんたん。

ただしギヤの加工は精度が求められるので、加工すれば必ず速くなるわけではない点には注意が必要です。
セミフローティングギヤ
今回はギヤ加工の難易度も低い、方軸用のセミフローティングギヤの加工手順を紹介します。
- STEP1ベアリング側から3mmドリルで穴を拡張
- STEP2ドリルは最後まで貫通せず1〜2mm程度残す
- STEP3620ベアリングをはめ込む
シャフト穴を拡張することで、シャフトとギヤの接触する面積が少なくなります。
これによって摩擦が減り、回転する際の抵抗を減らすことが可能に。
セミフローティングギヤ加工のポイントは、手作業での加工も可能なこと。
しかしセミフローティングギヤは加工範囲も少ないため、手動での加工もやりやすくなってきます。
「フッ素コートギヤシャフト」や「研磨したシャフト」と合わせて使うと、より効果が出てきます。
より精度の高いフローティングギヤを作りたい場合は、治具を活用してみるのもおすすめです。
商品リンク:ミニ四駆治具 カウンターギア加工ツール 《NO.58,59,60,62》
ミニ四駆のギヤ まとめ
マシンセッティングでギヤ比に迷った場合、まずは3.7:1のギヤ比からはじめてみるのがおすすめです。
ミニ四駆のギヤ比は、組み合わせによって速度寄り〜トルク寄りまでさまざま。
コースの規模としても公式大会ほど広くないコースが多いので、3.7:1のハイスピードEXが扱いやすくなってきます。
もちろん最適なギヤ比については、マシンセッティングやコースレイアウトによっても最適解が変わってきます。
さらにマシンの速さに関係するのは、ギヤ比だけではない。
カウンターギヤ内のベアリングの有無や、ギヤシャフトによってもマシンの速さは変わります。

なのでギヤ比と合わせて、ベアリングやギヤシャフトの調整も大切になってきます。
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